購入予算とは、家計に無理なく「買える価格」のこと。家の購入や新築、リフォーム時に支払える「現金の額」と「住宅ローン借入額」を決め、それをもとに購入予算を計算する方法を紹介しよう。
家の購入や新築、リフォームのために貯蓄をすべて使ってしまうと、新居への引越し代など「入居費用」が出せないし、家族の病気やケガ・災害など万が一の事態にも備えられない。将来も安心して暮らすなら、「住宅資金」は、貯蓄から「家の購入後に備えるお金」を差し引いた額にしておこう。
(1)入居費用……物件の種類や規模によって異なるが、一般的な新築住宅で、カーテンや照明器具など必要最低限の家具購入の場合は、50万円程度が目安となる。
(2)生活予備費……病気やケガ、災害時など万が一の事態に備える資金。会社員なら生活費の3カ月~半年分を目安に貯蓄を残しておこう。
(3)将来のための貯蓄……「教育費の貯蓄」「車の購入資金」など将来に備える貯蓄をしている人は、その分は使わずとっておこう。
住宅ローン返済額は、一般的に「年収負担率(※1)25%以内なら安心」といわれている。そこで、この安心ラインを毎月返済額に換算し、借入額も試算してみた(下例)。年収に合う毎月返済額を見て、家計に負担をかけずに返済できるか考えてみよう。
※1 年収負担率=年間返済額が年収に占める割合のこと
この例を見て、「こんなに返せない」または「もっと返せる」と感じる人も多いはず。同じ年収でも家族の人数やライフスタイルにより、返済できる額はそれぞれ違うから当然だ。そこで次は、家計に合った無理のない返済額を決める方法を紹介しよう。
家計簿をつけるなど家計管理をしっかりしていれば、家計に合った返済額を決めるのは比較的簡単だ。そうでない人は、家賃など今の住居費と、購入後にかかる「ローン返済以外の住居費」をもとに毎月返済額を考えよう。
(1)積立貯蓄……家を買うために積立貯蓄などをしている人は、家の購入後、一部を返済に回せないか考えてみよう。
(2)管理費等……マンションは毎月、管理費や修繕積立金などを支払う(目安/毎月2万円)
(3)固定資産税等……家を買うと毎年、固定資産税や都市計画税がかかる(目安/年間10万~20万円台)。この分はボーナスから払う方法もある。
注)(2)(3)の金額は物件によって大きく違うので現地見学時に必ず確かめよう。
毎月返済額が決まったら下の表で借入可能額をチェックしよう。
下表では、住宅ローンの2タイプの金利例から借入額を試算している。「金利1.7%」は、返済期間中の金利が決まっている全期間固定型タイプの金利例。「金利0.475%」は返済期間中、定期的に金利が見直される変動型タイプの金利例だ。
毎月返済額 | 借入額 | |
---|---|---|
固定金利1.7% | 変動金利0.475% | |
6万円 | 1899万円 | 2322万円 |
8万円 | 2532万円 | 3096万円 |
10万円 | 3165万円 | 3870万円 |
12万円 | 3797万円 | 4644万円 |
14万円 | 4430万円 | 5418万円 |
16万円 | 5063万円 | 6192万円 |
18万円 | 5696万円 | 6966万円 |
20万円 | 6329万円 | 7740万円 |
表記されていない返済額や金利、返済期間での借入額が知りたいなら → 家の買える額シミュレーション
金利や返済期間について詳しく知りたいなら → 住宅ローンの情報
「買える価格」を計算する前に、家の購入、新築、リフォームに必要なお金について確認しよう。下の図は、家の購入に必要なお金の例。家の新築やリフォームも、住宅ローンを利用する場合は「工事代金」のほか諸費用や工事完成後の維持費がかかる。
図を見て分かるとおり、先に決めた「(3)住宅資金(購入時にかかるお金)」と「(2)住宅ローン借入額」を足して、そこから「(1)購入諸費用」を除けば「(4)物件価格」、つまり「買える価格」が計算できる。
※家の新築やリフォームでは、図の「物件価格」が「工事代金」に当たる
「(1)購入諸費用」は家の種類によって異なり、新築マンションは物件価格の3%~5%、中古マンションは5%~8%、一戸建ては6%~10%が目安となるため、「買える価格」の計算式は次のような割り算になる。さっそく計算してみよう。
【計算例】
住宅ローン借入額4000万円、住宅資金600万円、新築マンションを買うつもりで、購入諸費用を価格の4%とする場合は、次のような計算になる。
・買える価格
(4000万円+600万円)÷1.04=約4420万円
・頭金(買える価格-住宅ローン借入額)
4420万円 -4000万円=420万円
・購入諸費用 (住宅資金-頭金)
600万円-420万円=180万円
※購入諸費用は、物件の床面積(専有面積)や築年数、また住宅ローンの借入額などによって異なるため、上記の目安とは金額が異なることもある。また、購入諸費用分も融資可能な住宅ローン商品もある
土地を買って家(注文住宅)を建てるときは「土地代」と「工事代金」の合計額が購入予算内におさまるように計画しよう。中古住宅を買ってリフォームするときも同様、「中古住宅の代金」と「リフォーム費用」が予算内におさまるようにしよう。
住宅ローンは、金融機関によって金利やサービスが異なる。また、同じ返済額でも返済期間によって借入額が違ってくる。当記事では金利1.7%、返済期間35年を例に購入予算を試算しているが、他の金利や返済期間で計算する場合は、SUUMOの「住宅ローンシミュレーション」を利用しよう。