初めての土地探し。土地に関する知識がない分、プロに相談したくなるもの。注文住宅を建てる土地探しのプロは大きく分けて、建築会社(ハウスメーカーや工務店)と不動産会社だ。今回は、それぞれの特徴、メリット・デメリットと合わせて、相談しやすいプロを見分けるポイントを紹介していく。
土地を探すときは不動産会社に依頼し、物件情報を提供してもらったり、一緒に土地を見て回ったりするのが一般的だ。ただ依頼先の建築会社が決まっている場合は、その会社に土地探しを手伝ってもらう方法もある。建築会社によっては土地の仲介を行う部署が社内にあったり、グループの不動産会社などと提携していたりする場合も多いので、あらかじめ希望を伝えておけば、情報が出てきた段階で、土地情報を紹介してくれるケースもある。
ハウスメーカーなど建築会社に土地探しのサポートしてもらう最大のメリットは、ややこしい土地の規制なども踏まえてプロの視点が得られる点。希望する家が建てられる条件の土地かどうかをすぐに判断してもらえる。特に予算内で土地購入と住宅建築の両方が実現できるかどうかの判断は、施主自身や不動産会社だけでは難しいだけに、魅力的だ。さらに土地分も含めた住宅ローンの手続きについても、建築会社がダンドリしてくれればその後の手続きがスムーズになり、入居タイミングなど、より希望に合った家づくりにもつながる。
また、一般的に三角形や旗竿の形、崖地や法地(のりち)など、変形地といわれる土地は敬遠しがちなもの。でも注文住宅のプロに見てもらえば、土地の形や条件と希望をうまくマッチさせた家が実現することもある。注文住宅の醍醐味の一つである「オンリーワン」の家も夢ではないだろう。さらにこうした変形地は、一般的に同じエリアの整形地(長方形や正方形のきれいな形の土地)よりも割安になることが多いので、自分がかなえたいプランが実現可能か確認したうえで検討してみるのも良いだろう。
ハウスメーカーに土地探しを依頼した際のメリットは、希望通りの建物を建てることが可能な土地を探してくれることだ。土地だけを単独で探した場合、実際にその土地に家を建てようとしたとき、建築制限に引っかかって希望通りの建物を建てられないというケースがよくある。しかし、ハウスメーカーに土地探しを依頼すると、最初にどのような家を建てたいのかを相談でき、エリアや広さだけでなく、どんな家を建てたいのか、土地と建物トータルの予算はいくらくらいかということを踏まえたうえで探してくれる。土地だけを探した場合、土地が予算内に収まっていても、希望通りの家を建てようと思ったら建物が予算内で収まらない場合もあるため、トータルの予算で動いてもらえる点はメリットになる。
また、これから造成する土地なども選択肢に入るため、希望に合う土地が見つかる可能性が高くなることもある。土地購入と建築を同じ会社でできるため、住宅ローン窓口を1本化できるのもメリットだ。
注意点としては、紹介される土地の種類は建築条件付きが多くなりがちなこと。ハウスメーカーは自社で建てるために土地を探しているケースがほとんどなので建築まで含めた提案をしてくることが自然だからだ。もちろん建築条件付きの土地でなければ、建築依頼は必須ではないのだが、そこまで動いてもらって断りにくいということがある。この会社で絶対に家を建てたい!という希望があるのならば相談しておきたい。
メリットは、更地から建築条件付き土地まで、多彩な種類の土地を取り扱っていること。また、全国規模で拠点を設けていることが多いので、エリアをまたいだ土地の提案も可能。例えば通勤利便性を重視する場合、沿線、エリアを変えた土地探しができ、今まで考えていなかったエリアの中から、希望に沿う土地を紹介してくれる。
現在住んでいる物件を売却し、売却益を元手に新居を購入したいという場合も、全国各地の顧客がいることで、早期売却が実現しやすいし、ワンストップで対応してもらえるので負担も減る。
注意点は、いくらまでの予算を土地購入に充てることができるのか、いつまでに入居したいのかをできるだけ明確にしないと、情報量が膨大で取捨選択することが難しくなってくるということ。特に土地の予算が決まっていないと、なかなか不動産会社も提案しにくくなる。結果、希望の土地情報までにたどり着くことができなくなってしまう。
地元情報をよく知っているので、希望エリアの住環境を含めた土地情報が手に入れられたりする。ちなみに公開されている土地情報は大手、エリア特化とも大きな差はない。これは全国の不動産業会社が物件情報を共有するネットワークシステム「レインズ(不動産流通標準情報システム)」に登録された情報を取り扱うからだ。大手と違うのは、例えば子どもの進学先などの事情で、特定のエリアにこだわって家探しをしたい、実家の近くがいいなど、住みたいエリアが決まっている場合に力になってくれやすい。人通りや車の通行量の多さ、学校の特徴など地元だから知りえる土地情報も手に入りやすいだろう。
さらに、地元のネットワークが強いので、そのエリアの地主など土地を持っている人と懇意にしていることもあり、そうした人が土地の売却を検討していれば、いち早く情報をもらえるなども特徴だ。
注意点は、大手不動産会社と同じく、土地の予算や入居時期などが具体的になっていないと取捨選択がしにくい点。また、その会社が強みとしているエリア以外の情報は比較的少ない点だ。
ハウスメーカー | |
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メリット | ・希望通りの建物を建てることが可能な土地を探してくれる ・土地と建物トータルの予算から探してくれる ・土地、建物のローンを一本化しやすい |
デメリット | ・建築条件付き土地の提案が多いので、建てる会社を選べないこともある |
不動産会社 | |
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メリット | ・多様な種類の土地情報を提案してくれる ・周辺環境の情報も持っている ・インターネットサイトに掲載される前の土地情報が得られることも |
デメリット | ・予算、入居時期など条件が具体的でないと、希望に沿った土地に巡り合いにくい |
どこに相談するにせよ、相談する会社がもっている情報の種類が違うので、複数の会社に相談しつつ、自分でも探すことがより希望の土地に巡り合える可能性を高めてくれるだろう。
どうしたらより自分たちに合った土地探しの『プロ』を見分けられるのか。それは、親身になって相談に乗ってくれる、情報提供が早い、相談後の情報提供が多いなど対応力がポイントになる。
ハウスメーカー、不動産会社とも不動産のプロの目線で、「この土地は整形地でないので、建築プランに配慮が必要になるかも」「周辺環境が変わることもある場所です」など、良い面だけでなく懸念点も伝えてくれる会社がより信頼できるといえるだろう。
同じ条件の土地を複数、さらに希望のライフスタイルを加味して、想定になかったエリアの土地なども紹介、提案してくれると視野が広がり、希望に近づく土地購入ができることもある。もちろん、予算に合わせて、無理な契約を勧めてこないなどもポイントだ。