家づくりのプランが決まり契約をしたら、いよいよ着工。建築工事がスタートする。家が完成(竣工)するまではなにをしたらいいのか、注文住宅が完成するまでの大まかな流れと注意点を紹介していく。近隣へのあいさつ回りや地鎮祭・上棟式などのイベントまで、気になるポイントを押さえてほしい。
建築中は資材の搬入や騒音などで近隣に迷惑をかけることもあるので、事前にあいさつ回りをしておこう。ご近所と顔見知りになっておけば、新生活も安心してスタートできる。タイミングとしては着工前、地鎮祭の前後に行くのが一般的。もちろん、工事のスケジュールが決まった時点でも構わない。また、古家付き土地で建物解体が必要な場合は、解体工事を始める前にもあいさつに行っておきたい。
あいさつ回りに向かう先は、両隣はもちろん、向かい側の3軒と裏手側の3軒には手土産持参で足を運んでおこう。あいさつするときには、営業担当者や工事(施工)責任者と一緒に回り、工事の日程や特に音などが発生しそうな時期を説明する。緊急連絡先を明記した簡単な工程表などを渡しておくと信頼感が高まりやすい。手土産は施工会社が用意してくれることもあるが、施主側でも1000円程度の菓子折りなどを持っていくと好印象につながる。
また、このあいさつ回りは入居後の安心した暮らしにもつながる。顔見知りになってから新生活をスタートすれば、住宅街に見知らぬ人が入ってきても察知しやすくなったり、自然災害などいざという時には助け合えたりするなど関係も築きやすい。
家の工事が始まる直前には、現地で地縄張りと地鎮祭を執り行うのが一般的。地縄張りとは、敷地内で建物外周の形にしたがってビニールひもなどを張り、建物の位置を確認する作業のこと。隣家や道路との位置関係、駐車スペースなどを確認する大切な工程なので、必ず立ち会って不明点は聞いてみよう。
また、地鎮祭とは土地を守る神様に工事の安全を祈願する儀式。地域や建築会社によって簡略化して、行わないこともあるが、営業や工事の担当者と施主が一堂に顔を合わせる機会にもなるので、家族と相談して行うかどうかを決めたい。
地鎮祭の手配は施工会社に任せたり、自分で近くの神社の神主さんに依頼したりするなどさまざま。費用は玉串料、神主への謝礼などを合わせて数万円の出費となる。また日程は大安など吉日を選ぶ場合が多いが、この日はダメなどの決まりはないので、晴天の日を見越して相談しよう。
→詳しくは地鎮祭の費用やマナー
家の工事が始まったら、時々現場の工事見学をして進捗状況を確認したい。建てる場所が今の住まいと近ければ週に1回程度、頻繁に行けない場合は、「基礎工事・木工事(構造)・設備工事・内装工事・住宅設備設置」など、工事ごとに見学するのも方法の一つ。
見学の際は、現場で施工するスタッフの休憩時間に合わせて、飲み物やお菓子などの差し入れをするのもいいだろう。差し入れ品はすぐに消費できるドリンク系が一般的。
注意点は作業中にむやみに話しかけないこと。一段落したところで言葉を交わす程度なら問題ない。ねぎらいの言葉をかけることで、職人に張り合いが出ることもある。いつでも見学に行っていいという場合がほとんどだが、作業工程によっては安全性が懸念されることもあるので、見学タイミングや注意点などは依頼先の建築会社の担当者に事前に聞いておくとスムーズだ。
また、実際に建築現場を見て、工事の内容に疑問や当初予定していたことと違う、など問題がある場合は、その場で職人に直接話すことは避け、依頼先の営業担当者や現場監督に確認しよう。職人さんには判断できないこともあるからだ。気を使ってお任せするのではなく、気づいた点を質問することで不安感なく進められるし、理想通りの家が建てられる。
注文住宅は工事代金を複数回支払うのが一般的(下記は一例)。支払時期や金額を確認して、自己資金が不足する場合は分割相談や住宅ローンのつなぎ融資などを考えよう。
→詳しくは家を建てるために必要な情報収集をする
契約時 | 建築費の約10% |
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着工時 | 建築費の約30% |
上棟時 | 建築費の約30% |
竣工時 | 残代金 |
上棟式(じょうとうしき)とは、柱や梁などの骨組みが完成して屋根がかかった、棟上げの段階で、工事関係者が集まって工事の安全を願う儀式のこと。棟上げ式(むねあげしき)、建前(たてまえ)とも言われる。もともとは骨組みが完成した区切りの時期に、ここまで無事に工事が進んだことへの感謝と今後の無事を祈願する式だ。施主や営業担当者も参加し、宴席を設けるスタイルが従来は多かったが、最近では簡単なあいさつ程度ですませ、ご祝儀を渡すだけというケースもある。
プレハブ住宅など工法によっては上棟という工程がないケースもある。式を行うかどうかは施主の意向次第なので、建築会社や家族と相談し、実施する場合は日程を決めてご祝儀の用意や宴会の準備を進めよう。
想定される予算は、式の内容や参加人数によって異なるが、簡素に行う場合で10万円程度。地域によってお菓子やおもちをまくなどスタイルはさまざまなので、建築会社と内容を相談しよう。
工事が終わったらいよいよ建物の竣工検査。内覧会とも呼ばれる。営業担当者や工事責任者と一緒に建物をチェックする工程だ。チェックの際は、床や壁などに傷や汚れはないか、建具の開け閉めはスムーズか、電気の通電や設備は正常に動くかといったことを、担当者に説明してもらいながら確認する。
不具合が見つかったら引き渡しまでに修理してもらうか、入居後の修理となるかを建築会社と相談して決める。この際、書面に残しておけば、あとで「言った、言わない」のトラブルを防げるだろう。
引き渡しまでに直してもらう不具合の修理が終わったら、施工会社が作成した「工事完了書」(建物引渡書)に押印し、いよいよ引き渡し。鍵と保証書、確認検査機関による検査済証を受け取る。
保証書には定期点検とアフターメンテナンスの内容や時期、設備などが故障した場合の連絡先などが書かれているので内容を確認し、定期点検やアフターメンテナンスについては、いつまで無償で受けられるのか、有償になるのはいつからでどのようなケースか、といった点もチェックしたい。
竣工検査が終わったら引き渡しを受けて、引越しの準備。注意点としては家具家電の配置や搬入経路の確認だ。できれば竣工検査の際には、メジャーを持っていき、カーテンの採寸(オーダー品の場合、時間がかかるのでできれば早めに)や冷蔵庫、洗濯機など大型家電の搬入経路を確認したい。経路によっては、あらかじめ手すりや建具を避けて搬入する必要が出てくるかもしれないので、建築会社と相談しながら進めよう。
また、搬入は立ち合いが必要なので、必要家電、家具は一日にまとめて搬入できるスケジュールを組むことも大切だ。